ポートフォリオレビューでのこと、写真家は、自らの身体にキズをつけて撮った自写像を披露する青年に、

「あなたはこの写真を撮り続けるべきです。」という内容のアドバイスを行った。つけられたキズは尋常ではなかった。

表現とかアートとか言うけれど、変じゃないですか、お二人さん。

表現とは？　作品ではなく、作品を見て何かを感じるときに生まれるもの　らしい。

人に出会うことが動機で目的、自らを取り巻く社会や世界に何かを伝え、　それを共有しようとする。

フィルムと紙焼きの湿式の化学か、乾いたデジタルの科学か。

写真が、語ったり伝えたりまたメッセージを送ったりするのに、

「そんなこと関係ないんちゃう。」と思いたい。

それでも気になるアナログ世界の魅力は何？　暗く湿った場所で行われる　妖しげな錬金術の作業の仕業なのか。

『できのよさ』ってえのは、生まれつきってことで．．．。

葛飾北斎が描く海波。その先端が崩れる瞬間に創る模様を捉えるシャッター速度は五千分の一秒位が必要だそうです。見る力、瞬間に気付く力、写真を撮る人にはとりわけ必要なチカラのようです。

形を見るか？　その向こうの側の何かを見るか？

撮るとは？　形を撮るか？　形の向こうを撮るか？

向こう側にある何かって何？

前後の事柄が分からなくなるほど正気でない状態